Ⅰ.トータルプロセスデザインの語義と目的
企業活動における一般的な過程展開の原則を示した企業活動の基本過程に照らして、在来の活動過程における重要な欠落や片寄りを把握し、全体および各部に関してバランスのとれた全備型プロセス(トータル・プロセス)を設計する工程~態勢の開発手法。
Ⅱ.企業活動の基本過程
- 経営部=企業活動の指針を打ち出す
- 企画部=指針と状況から要件を見極める
- 開発部=要件の実現方法を構築する
- 制作部=生産部稼働の所要条件を整える
- 生産部=主たる成果物を生成発送する
Ⅲ.実情と基本過程との対照
- 在来の業務の全過程(工程)を実際通りに記述した資料を作り、実態を確認する。
- どのような業種でも、企業の基本的アウトプットを生成する過程が生産部にあたる。
- 企画会社における企画立案セクションは企画部ではなく生産部となる。
- 生産部の活動のための条件的基礎を提供する同階層の別部署が制作部となる。
- 経営トップとその補佐が経営部にあたる。(通常社長個人または社長室)
- 経営部からの指針と内外の状況を踏まえて活動要件を煮詰めるのが企画部にあたる。
- 企画部の示す要件の実現方法を開発するところが開発部である。
Ⅳ.欠如・肥大の是正
- 経営部の機能不全の現実およびその問題性は、まだ一般にほとんど認識されていない。
- 多くの場合、販売実績の主な要因は販売部門自身よりも企画部にあることが発見される。
- 従って、販売部門の役割は過大評価され、相対的に肥大化している場合が多い。
- 欠落率が最も高いのは企画部であり、以下開発部、制作部の順である。
- 企画部が欠落すると、企業が永続的に役立ち続けるための柔軟対応が困難となる。
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小さな世界企業と評される特異貢献の企業はほぼ例外なく開発部が機能している。
- 制作部まで欠落すると、主体的な事業活動は困難に近い。
- 発注元から設計図を受け取って加工のみを行っている事業所など。
Ⅴ.各部・細部にわたる基本過程適合化
- 各部分セクションにも基本過程に相似した流れができるようにする。
- 各部署に頭とも言える自己判断形成過程を持たせることは体質向上に寄与する。
- 末端には、頭を働かせる全備型プロセスとしての個人が位置づけられる。