共同体通貨(ハートマネー)

ハートマネーの話

ハートマネーとは

ハートと呼ばれる代替通貨で、単位当たりの価値を和道銀行が管理し、共同体(人的ネットワーク)の中で使用されるものです。

 

代替通貨とは、中央政府が発行する一般通貨に対して、民間あるいは地方で自主的に管理運営される通貨を言います。

 

代替通貨の中で比較的知られているのは地域通貨と呼ばれる種類のものですが、ハートマネーは地域との密着性はなく、連帯する仲間の広がりと共にあるので共同体通貨と称しています。

 

代替通貨は欧米では、“Local Money”、”Community Money”と呼ばれ、現在世界におよそ3000あると言われています。

代替通貨の必要性

いま人類社会は歴史的大転換期の時期に差し掛かっており、その中で旧来の経済秩序の崩壊も乗り越えていくことになると思われます。

 

20世紀前半の世界恐慌や第二次世界大戦の折りにも、経済は大きな試練に見舞われましたが、世界各地で代替通貨による対応が救済的な成果をあげました。

 

備えあれば憂い無しと言いますが、全く無事で済むことはないとしても、予測されている危機に備えておく必要性は明らかと言えます。

代替通貨活躍の具体例

大恐慌で倒産や失業が世界中に広がったころ、他の地域と同様に経済の荒廃状態に苦しんでいたオーストリアのヴェルグルという町では、町長が自由貨幣の理論に明るく、1932年から実施したところ、驚くべき回転率で流通し地域経済を活性化したために、町の税収は回復し、スイスで失業率が2.6%上昇した同時期にこの町では失業者数が25%も減ったのでした。

 

ドイツでも1930年には、石炭を裏付けにマルクに代えて労働者に支払われた代替通貨が地域に流通しました。たとえばこの場合でも、まず労働者に仕事をもたらし、賃金をもたらし、購買を促し、販売者には仕入を発生させ・・・というふうに経済に回転力を与え人々を助けるわけです。

 

この時期、欧米各地で多数の事例が発生しましたが、1930年代のアメリカ全土では数千例にも上ったのでした。

 

最近の例では、政府の財政破綻で激しいインフレに陥ったアルゼンチンで、RGTと呼ばれる代替通貨が、一般通貨のインフレと切り離された交換手段として急速に広まり、数百万人規模の人々が参加して現在なお拡大を続けているとのことです。

ハートマネーである必要性

いわゆる地域通貨の多くは、金銭のやり取りのイメージを和らげてボランティアなどの活性化を図るといった狙いで使用されています。

 

それらは通常、一般通貨と固定された比率で換算される仕組みを採っていますので、そうする限りは一般通貨が紙くずになるときは一緒に紙くずになるため、通貨システムの危機には対応する機能を持ちません。

 

そこで、労働時間を基準にした単位を採用しているタイプの代替通貨も現れています。

 

しかし労働にはピンからキリまで色々な内容があるため、こうした方式では通貨の交換価値は著しく大ざっぱなものになります。

 

ハートマネーは恐らく、通貨価値を安定的に保つための仕組みを備えた初めての代替通貨であり、一般通貨の危機に対応できる機能がここまで高められたものは他に無いようです。

ハートマネーが価値を保てる理由

インフレなどで売買の表示価格がどんどん変わっても、取引されるモノやサービスの社会的価値および相互交換率はそんなにめまぐるしく動くわけではありません。

 

たとえ一晩のうちに物価が倍になったとしても、それはモノとお金の間の関係であって、モノ同士の関係はむやみには乱されず、基本的に安定しています。

 

たとえば昨日までラーメン一杯と交換できたある商品は、特別なことがない限り今日もラーメン一杯と交換できるのです。

 

和道銀行は2000年前後の物価安定期から、幅広い取引対象物の交換価値を観測し、何が何ハートにあたるかを多数リストアップしてきました。

 

それらの中で単独的に値動きしたものを一般通貨での相場にしたがって時折修正していけば、昨日と等価関係の変わらない大多数のモノたちが、今日は何が何ハートにふさわしいかを物語ってくれるのです。

 

その意味でハートマネーを使うことは、物々交換の一種とも捉えることができます。

ハートマネーの価値を一定にする仕組み

実際にはいくつかのものを基準財として指定しており、それらが相対的に変わった値動きをしないことを確認できていれば、1ハートが円で言えばいくらになるのかが直ちに評定されます。

 

このようにして、いつも1ハートという一定の価値が円を始めとする他の通貨でも表現できるので、それらの通貨による1ハートの相場を価値定点と呼びます。

 

基準財は、指定された型番のTシャツ、椅子、品質が一定の岩塩などで、我々のネットワーク内で生産されたり価格が管理できるものを選んでいます。

 

価値評価の安定性を高めるために、基準財のほかに参考財と呼ばれる物品が多数指定されており、必要に応じて現状の価格が参照されます。

 

さらに、1ハートの定義は、長期的には必ず価値が変動していくモノ(金など)を土台にしているのではなく、心価と呼ばれる欣びの量を本位にしているので、人間にとって時代や文化を越えても共有できる、より真価に近い最終基準をもっていることになります。

欣びの量を通貨基準にする方法

同じものをもらっても、人によって、場面によって欣びの大小は差があり不安定です。

 

そのこと自体は欣びの量を価値の指標にするためには何ら不都合なことでもなく妨げにはなりません。

 

むしろモノや形では欣びの量すなわち感じる価値を保証できないという点が改めて浮かびます。

 

ところが、人間が行動決定において選択肢に対して感じる価値は、それらに伴う欣びの量と密接に関わっており、人は心価で動くと言えるほどです。

 

問題は、欣びの量を実際に測ることができるかどうかという点にあります。

 

それさえできれば、一定あたりの欣びを得るために、または失うのを防ぐために、人は平均的にどれだけの代価を払うかという実験的検証により、欣びの量と任意の貨幣単位を結びつけることが可能となります。

欣びの量の測定方法

「欣びの量は実際に測れるのですか」という声もあるかもしれませんが、結論から言えば、かなり細かく測ることができます。できるようになったと言うべきかも知れません。

 

まず欣びの量は、欣びの度合いを縦軸に、時間を横軸にとった座標の上で、欣びの度合いを表す曲線がある時間の範囲で横軸と囲む面積、簡単に言えば欣びの度合いに時間を掛けた量というふうに考えます。

 

その上で欣びの度合いを評価測定するために、あるものを用います。それが欣度表と呼ばれる一種の物差しです。

 

欣度表には欣びあるいは辛さの度合いを表す用語と顔の略画が各10段階、中感と呼ばれるなんともない段階と合わせて合計21段階が示されています。

 

ある時点で認められる欣びの度合いを示すには、この表の中のどの段階にあたるかを示せば良いのです。

 

これは、自分の欣度についても他人の欣度についても、どの程度と認めるかを表現する方法となります。

 

実際に使ってみれば、さしたる迷いもなくこの21段階のどれかを指定することが可能です。

 

欣度が0から4に上がり1秒間続いて0に戻ったときの欣びの量すなわち心価が通貨としての1ハートの千分の一すなわち1ミリハートと定義されています。

1ハートの値打ち

2000年前後の物価安定期において、1ハート=400円となっています。2003年5月現在も同じです。

 

たとえば今後インフレによって2000年当時400円で買えたものが軒並みほぼ800円で売られるようになったとすれば、1ハートは800円と交換されるようになるということです。

 

インフレ期には一般通貨は値打ちが下がりますが、ハートマネーは同じ額なら基本的に同じものが買える値打ちを維持します。

 

モノの値段をハート建てで憶えておけば長く有効ですし、激しい価格変動で妥当な値段の判断が混乱するようなときでも、その時々のレートから比較的容易に高い安いを判断できます。

 

もし同じものに対してハート建ての評価額が変化するということがあれば、それはそのものの社会的価値が何らかの事情で変動したということを表します。それ以外は一般的にはいつまでも同じものは同じハート価格になります。

円とハートマネーの交換

法律上の制約もあって、たとえば円とドルを銀行の窓口で両替するような具合に交換するシステムは、現在のところできていません。

 

原則的にはハートマネーを持っている人と個人的に合意して円と交換してもらうことは自由です。

 

ただ、ハートマネーへの交換は将来的な安心のために行われるのが一つの趣旨ですので、せっかく溜まったハートマネーを円に戻そうとする人は少ないかも知れません。

ハートマネーの入手方法

現在最も確実な方法は、基準財の一つで、和道銀行が砂状粉末100g=1ハートと認定しているヒマラヤの岩塩ほたかみを円で買うことです。

 

その岩塩を裏付けにして、それに見合う総額分のハート建ての個人小切手を振り出すことができますので、ハートマネーを持っているのと同じになります。

 

その場合、決済のためのハート建て口座を、和道銀行の認可を受けた心価銀行に開設しておく必要があります。

 

この態勢ができる以前は、何か自分で売れるもの、またはその引換券のようなものを、ハート建てで買ってくれる人を見つけてとりひきするしか主な方法はなかったので、ずいぶん利用しやすくなりました。

心価銀行の所在地

本店は和道銀行と併設で埼玉県さいたま市にあり、2003年5月現在、他に広島支店、名古屋支店があります。

 

ただ、全国の決済をネット上で一本化することになれば、全て本店扱いということで全国どこからでも手続きできるようになります。

 

いずれはそのようにすべく作業が進行中です。

 

なお、心価銀行の口座の残高には利子は付きません。さらに小額ですが年間の運営手数料が残高の1%かかりますのでご承知置きください。

ほたかみの購入方法

ハートマネーを利用するためにほたかみの購入を希望する人のために100ハートセットというパックを用意しています。

 

これは100g(1ハート)袋25個、500g(5ハート)袋15個の詰め合わせで38,500円+税+送料(着払い)です。

 

各袋は密封ポリエチレン製で丈夫ですので、いざというときはこの袋入りの粉末岩塩ほたかみをそのままハートマネーとしてやり取りする使用方法にも可能性を開いています。

 

もちろん最終的には最も優れたミネラル成分の食用塩として使えるわけですので、その面では資産保全のためのなどより実生活上の使用価値がある分、安心感があります。

 

ただし、小切手を振り出しておいて岩塩も使ってしまうようなことをしてはいけません。

実感がつかみにくい方へ

ハートマネーの使用を模擬的に体験できるように考案されたハートゲームというものがありますので、機会があればやってみられると良いでしょう。

 

現状では定期開催はしていませんが、仲間が何人か集まればじっこうできます。ワンセットの価格は2.5H(2004年1月1日現在1000円+税)で、はる研究院で販売しています。進め方の試料を読めばできますが、はじめは指導者、経験者を交えて行うのが無難です。

現在、上記のような趣旨でハートマネーのシステムに参加の希望者を受け付けています。