心の自立

心の自立表紙画像
大和信春著 心の自立

はる研究院の研究成果として開拓された知識領域は色々な方面にわたり、全体を括る概念が見当たらないため、大和信春の名前から大和学と総称する人もあります。

その中の一つに著書心の自立の書名で代用される

  • 学校で習わなかった基本的教養
  • 人格的自立
  • 健全な意志の形成

のような分野があります。

 

心の自立は、もとは青少年のための講話の記録でしたが、「大人に必要」と40~50代以上の人々にも親しまれ、はる研究院の関連図書の中では最も多く経営者などの勉強会で輪読の対象となっています。

 

それは、基礎的要素に欠落があることが分かれば、どんなに遅ればせでもそこを補う必要があるということが自覚ある多くの人に実感されることの現れとも見られます。

 

この書は、是非多くの方に購読いただきたいと願っています。

成人式を迎えた方への贈り物としていただくのにも好適です。

心の自立 目次

  1. 人は何を学ぶべきか
  2. 願望から意志へ 全人的決意
  3. 原拠
  4. 盲疑・盲信から素直へ
  5. 多次元、連続的なものの見方
  6. 知的保留
  7. 実論と虚論
  8. 背水の陣幻想、肩書幻想の克服
  9. 善苦悪快観念
  10. 善快悪苦観念
  1. 依存人格
  2. 自立人格
  3. 心の挫折の回避
  4. 繁栄のサイクル
  5. 真の自己の発見
  6. 基本原動力の善用
  7. 関係欲
  8. 欲から志へ
  9. 志のある人生
  10. 志の探求

心の自立 まえがき

こんなにも生きていく上で大切なことを、なぜ、いままで教えられなかったのだろう、知らなかったのだろう、と、本書を読んで思われる方が多いのではないでしょうか。

その反面、私たちは、何と、どうでもいい知識を詰め込み、そしてそれに振り回されていたのだろうか、と思われる人も。

 

いままで疑問に思いながら、誰も答えてくれなかったこと、

「真の自分とは何か」

「大人になるとは、どういうことか」

「欲と志について」

など、これほど懇切丁寧に解き明かしてくれた書物は、なかったのではないでしょうか。

 

現代の教育は、あまりにも方法論(ノウハウ)に片寄り、人生の根本となる、[生きていく指針や基本]を身につけるという場面が欠けていたということが、著者の「成人要目」の研究によって、明らかになりました。

目的のない航海を、ただひたすら、沈まないだけのために続けている、そんな現代人の生きる姿が浮かんできます。

 

第二次世界大戦後は、「食べる」という目標に向かって、比較的波のない航海が続いたわけですが、今、著者が語るように、「人類新生の節目」に当たり、大きな波が訪れようとしています。

この波の来し方と行く末をよく見極め、それを乗りこなして人類新生の大海に漕ぎ出でるために、欠くべからざる知識と知恵が、ここにはあります。

 

本書は新しい人生を生きるための、心構えの書と言ってもいいでしょう。

言い換えれば、未熟な依存人格から一段進化した自立人格へと個々人が脱皮し、自分の本質にそった、自分らしい生き方を見つけるためのガイドとなることでしょう。

 

そして、「心の自立」が実現する社会からは、支配、被支配による秩序ではなく、お互いを活かし合う調和秩序が生まれ、現在とは比べようもない精神的に豊かな社会が実現するに違いありません。

その意味で、本書は人類が脱皮するための手引き書であるとも言えます。

 

本書は、じっくり読み込んでみると、偉大な賢人、聖人の教えに通ずるような趣きがあります。しかしそれが、教えや道徳などの、守るべきものとしてではなく、判断を生み出す内的情報処理構造の解明により、自ら選びとるものとして表されているところに、従来の生き方の書とは異なる点があります。

 

その点では、依存的信仰からの脱却の書と言えるかも知れません。

 

教義・教条(外の声)にしたがって生きる時代から、目覚めた内なる声に耳を傾け、自らの心を自ら育てながらお互いに育て合う時代へと、移行するときが来たのでしょう。

 

それこそ「心の自立」のときです。

 

人の心を汚染し、反社会的な行動へと駆り立てる事件が世の中を騒がせていますが、このままでは、そうした悲劇が跡を絶つことなく、ますます深刻になることでしょう。

 

これを防ぐには、一人ひとりの「心の自立」こそ望まれます。

 

世界平和も、もとをただせば、この「心の自立」からと言ってもいいかも知れません。

 

本書は、大転換の困難な時代を迎える、これからの若者を主な対象として書かれていますが、その前にまず、次代を若者に託す大人にこそ読んでいただきたいものです。

 

新しい時代の流れをつくるために。

 

大和信春先生の長年のご研究に感謝して

清水 義晴