研究はただ常識に反すればよいのではなく、次の時代の常識として通用しなければならない。
ふつうの研究者(非天才)の選ぶ研究は、役に立っても短期間か、実際には必要とされないものが多い。
研究成果が常識的でないときに発表する勇気をもてない凡人は、安全なテーマを選び無難な論文を書く。
ニュートンは25年間も錬金術の研究に費やしたが、価値ある成果はなかった。
「研究成果の7割は研究テーマによって決まる」ということは、多くの研究者が認めている。
研究テーマの選択は、研究者の能力よりはるかに成果への影響が大きい。
研究テーマの選択には、研究者のリクルート活動以上に精力を注ぐべきであると言われる。
在来の研究者は、どのような研究テーマが有望かという問いに全くバラバラな判断を示す。
学校の成績と、何がよいかを判断する能力とは、全く別のようである。
研究テーマ設定にあたって、若い研究者はまだ十分な判断力を持っていない。
第一線を離れて研究管理の仕事に長く従事すると、最近の動きに詳しいとは限らない。
物事を評価するときには、実際にわかる範囲で評価するべきで、他の人の評価に便乗しないほうがよい。
1950年頃の日本銀行は米国のビッグスリーの強さを見て「日本に自動車産業は育たない」と公言していた。
ノーベル賞の江崎玲於奈氏がトランジスタの着想を発表した論文が学会に拒否されたことは有名である。
判断力を養うには、既知要素と未知要素をはっきり区別し、未知の要素を明確にすることが有効である。
判断力を養う上で「常に感覚を磨いて違いを分かろうとすること」が、一つの方法になる。
距離をおいてみると、岡目八目で別の見方ができることは、研究テーマに対する判断力を養う上できわめて効果的に応用できる。
創造性の研究では、天才とて特別な才能はもたないことを、いろいろな例から実証している。
後世に残る業績を生んだ天才たちに共通するのは、生涯にわたって研究に没頭したことである。
真に創造的な人が非凡であるとすれば生涯にわたって全身全霊で仕事にうちこむ研究欲の水準に関してである。
天才は一つの大きい目標に挑戦、集中するが、凡人は力を分散させて多くの小さい目標を実現しようとする。
実現したい目標を絞れば、凡人も天才に近づくことができる。
他のことはすべて犠牲にして集中し、徹底的に考えることが鍵になる。
独創的な研究が難しい理由の一つは、世間の評判に構うという庶民の逃れがたい欲望に抗して孤独に耐えることが必要なことである。
創造性とは、わからない問題を見つけ、新しい方法で解決する能力といえる。
歴史的にみると困難な問題にも必ず解答がある。
研究者が壁に突き当たることは、何かを乗り越えるチャンスの時期にさしかかったことでもある。
すばらしい成果は研究が壁に突き当たり、それを乗り越えるときに生まれることが多い。
アイデアがひらめくのは意志の力を超える現象のように見えるが、時間をかければ必ずひらめくのである。
問題が解けないのは、最初に思いついた解決法にこだわったときに多い。
研究の上でたいせつなのは、予想外の結果にいかに対処するかである。
他人の意見を聞いて試行錯誤する人は、研究者として着実に成長していく。
研究者としての若さは、脳のプログラムを更新する量に比例する。
優等生は理解するのは得意であるが、得てして分からないことに挑戦しない習性があり、研究者の適性として好ましくない。
研究を推進しているときに、その研究が成功するかどうかを楽観的にみることは重要である。
その研究の成功する確率が高い、と判断せざるを得ない根拠をもてば、研究の将来の成功を楽観的にみられる。
研究開発に強い会社は、組織の構造が単純で第一線の研究者が、より短い経路を通して会社のトップに接する機会が多い。
アメリカの研究所では、年輩になっても平の優秀な研究員がいて、研究所長より多いサラリーをもらう例がある。
多様な集団や社会は、ある種のムダをもつが、その反面で環境の変化に強いことになる。
意識的に立場の流動を抑圧すると、現在の環境から利益を得ているものに有利に働く結果になる。
個人を重んじることは、ユニークなアイデアを生むためには有効だが、モノをつくる上では不利になる。
チームワークが力を発揮するのは、アイデアが先にあってそれを実用化するときである。
社員に創造性を要求するならば、上司のいうこともよく聞いて協調性があり、雑用もこなして、というのは確率の非常に小さいことを求めている。
状況の変化に対処するとき文化系より保守的なのは理科系だといわれる。
研究所員に独創的な研究をさせるには、どこかでやっている研究、とくにアイデアが欧米から出た研究は禁止することである。
「スポットライトを追いかける人は、スポットライトにあたらない」
はる研究院
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