日本一明るい少年 (その3)2005.11/10

日本一明るい少年を目指して育てようとした長男は、気がつくと「日本一にぎやかな少年」に向かっていたのでした。

とにかく存在するだけでその場が超にぎやかなのです。


デパートなど広い人込みの中で、姿が見えなくなっても余り心配はないのでした。

にぎやかな気配や物音がする方に行けば見つかるからです。


あるとき家族で食事をしているところを、二十人ばかりの幼稚園児の集団が通りかかりました。

当然、ピーチクパーチクとにぎやかな一団です。

そのときふと我が息子一人とこの集団とどちらがにぎやかだろうと比較しました。

実感としては、息子一人でこの集団に充分匹敵するかそれ以上だろうと確認でき、こんなにぎやかな子供と毎日暮らしている自分たち夫婦を改めてねぎらうような気持ちになったものです。


それほど、連日のにぎやかさ、奔放さに相手をしなければならない親のストレスは結構大変で、家内もげっそりの気分を垣間見せます。

このにぎやかさがこのまま発達してエスカレートしていったらどうなることかと心配になり、ついに「日本一明るい少年」路線は撤回のやむなきに至ったのでした。


それでも三つ子の魂と言いましょうか、中学、高校になっても「なぜ大和君はいつも道を歩きながら笑っているの」という話が聞こえてくる位に、基調欣度はしっかり高いものになったようです。

私自身も、長男が一人で笑い顔をして道を歩いている所を、町内で車の中から見かけたことが何度かあります。


都内、横浜辺りで、不可解な欣度四~八の顔をして道を歩いたり、電車に乗って一人で笑っている青年がいたら我が家の長男です。(つづく)


(旧メッセージナウ2005年11月14日記事より)