「経営免許」と「社長ゲーム」(その3)2005.12/20

またゲームには“クセ取り効果”が期待できるという点があります。

実際の会社は試しに変わったことをして潰すわけには行きませんから、最も良いと信ずる限られた手を打つようになり、そのことが客観的可能性に対して狭い、硬直した対処となりがちです。


コソ泥は、捕まりたくないために、本人が最もうまくいくと信ずる方法で入ろうとし、そのうち手口が収束して、どの家にも同じ手口で入るようになるそうです。

そのため、同じコソ泥が昼も夜も入ることはなく、昼専門、夜専門にハッキリ分かれるそうです。

そのことをみても、真剣で責任感があればあるほど、本人が選びうる対処の手法は偏ったものになりがちなことが推察できますし、知るかぎりでは大方の実態がそのようです。


これに対しゲームの中では、普段の自分が実際の経営の中ではまずやらない対処の仕方を奔放に試すことができます。

その経験の中から実際の場面でも自信をもって打てる対処の幅が拡大され、事業の可能性を縛っていた偏りやクセの部分を是正に向かわせることができるのです。


このことは、ときに企業の運命を行き詰まりから救う鍵になる可能性をもたらす重要点です。

すでに経営手腕に優れていると言われている経営者でも、是非ゲームによる多彩な対処パターンの体験を積んで欲しいと勧めるゆえんがそこにあります。


これまでのところでは、どちらかというと経営活動の幅が狭く偏っていると見受けられ、最もこのゲームによる経験補充が必要と思われる経営者よりも、むしろ並以上の経営感覚の持ち主と見受けられる経営者の方がゲームに対して熱心な傾向が見えるのは興味深いことです。


(旧メッセージナウ2005年12月22日記事より)