「経営免許」と「社長ゲーム」(その4)2005.12/22

しかし、何と言ってもゲームはしょせんゲームであり、実際の経営と比べれば、本物の自動車とオモチャの自動車のように、補い難い違いがあるのではないかという心配は残っていました。


それはそれとして、実際にゲームの体験を積んでいくうちに、だんだん気が付いてきたことがあります。


車の運転免許では、自動車学校の教習コースは実際の道路とは状況が違っていますが、すべて実際の道路に比べて運転が容易で、訓練可能な能力レベルが低いところに留まるかといえば、決してそうとは限らないということです。


教習所の中に、通常の道ではお目にかかれないような難しいコースを設定して、そこを安全に通れるように技能を磨けば、一般道路では余裕で運転できるはずです。


同様に、ゲームにおいて一般想定より厳しい条件を設定し、その中で会社を潰さないように経営できるならば、通常の会社ではより確実に存続と成長を図っていけるということです。


同様の考え方による能力養成の方法は、スポーツのトレーニングでもよく見られます。


そのことに気付いてからは、経営状況の体験環境としてはこのゲームが実際の会社と比べて決して遜色ないということが実感とともに納得できるようになりました。

それどころか、短期間に決算期を沢山経験でき、凝縮した経営体験を積むことができる点は圧倒的に優れています。

百期やれば百年分の経営が疑似体験できるということですから、実際の会社経営では不可能なレベルです。


このゲームにより、社長の役柄など一生不適任で終わるはずだった人、もともと経営者のタイプではないと思われた起業希望者など、普通の人々にまで、車の運転感覚と同様に、そこそこの経営感覚をもたらす道が開かれたと最近では確信しています。
(おわり)


(旧メッセージナウ2005年12月30日記事より)