欠格の横行と社会 2005.12/30

「企業をひとりの人格として精神分析を行うと、診断結果はサイコパス(人格障害)となる。」

ということを検証したドキュメンタリー映画
「ザ・コーポレーション」
(同タイトルの書籍もあり。早川書房・1800円)
が日本でも上映されているようです。


他者への思いやりがない

関係を維持できない

利益のために嘘をつき続ける

社会規範や法に従えない

罪の意識がない


こうした人物がいれば、確かに我々は人格に問題ありと感づいてそれなりの用心をし、社会からも異物のように扱われることになると思われます。


ところが、話がひとたび企業となると、それらが全く普通で当たり前というのが大方の現状ではないでしょうか。


理念のない企業が“真面目に”利益追求をすると「背徳化」する因果関係は以前にも触れたところですが、多くの企業人は、その現実を見ても、それが仕事(事業、会社)というものだ、といった意識で、結局本気で省みることはないのでしょう。


T.P.D.(トータル・プロセス・デザイン)では、早くから、ほとんどの企業が「五体満足」とはほど遠い状態にあることを指摘してきました。

手も足も、頭すらなく、“腸”だけ取りだして栄養液の中に浸けて生かされているような企業が珍しくないのだということは、認識されていない、というより指摘する人もいませんでした。


これは栄養学が確立されていない時代に、ある地方の食習慣が極度に偏っていて危険の域にあったとしても、それを指摘できなかった状況と似ています。


恐らく、企業を人間に見立てて人格障害と診断して見せる程度では生ぬるいほどの重大な欠格性の横行がやがては認識されるものと思われます。


企業社会のみならず国際社会にも同様な問題があり、諸国は主権と国益の名のもとに、極めて利己的で冷酷非情な行動をほしいままにしてきた歴史があります。

国際平和の困難性の原因の相当部分は、互奪的国際社会を生んでいる国家群の欠格性に頓着しない“常識”にあると考えられます。


(旧メッセージナウ2005年12月31日記事より)