節約百円、遅れひと月 2006.6/27

先月11日、広島の東急ハンズで、ひと袋七本入りで百円しないくらいの金具を前に、しばらく迷った末に買わずに帰ってしまいました。


理由は、希望のサイズでニッケルメッキの鉄と真鍮の物はあったのですが、ステンレスの物がなかったことです。

あとで直面したのは、たとえ鉄でも真鍮でも「使える」なら、無いよりは有る方が断然良いし、今あればやはりタイムリーだったということです。


その金具を使ってある道具を作り、関係先に提供するつもりだったのですが、道具というものは、素手では無理な作業をも可能にする力があり、部材の質よりもまず「有る」ことが大事な場合があるということを痛感しました。

たとえば、栓抜きがなくて困ったときに、ステンレスのでなくて鉄のものでも、無いよりは有ることが決定的に大事だというようなことです。


そのことに気がついて、地元のホームセンターや金具専門店に行ってみましたが、そのサイズの物は、鉄や真鍮でさえありませんでした。


同じ東急ハンズでも東京の新宿店ならあるかも、という期待もあって、買わないほうに傾いてしまったのですが、結果としては同じでした。


その後巡回出張に出て広島で買わなかったものを東京で調達したものの、出先では加工具がなくて何も出来ませんでした。

昨晩出張から帰り着き、今日は勇んで製作をしましたが、先様に手渡しできるのは来月の半ば以降になると思われます。


ひるがえって考えるならば、古びた鉄の栓抜きを持参した人に

「何だ、ステンレスのものでなくては錆びやすいじゃないか。」

と文句を言う人は、それでも無いよりは有り難いということに余り思いが及ばない人だと思われます。

私はそのような心無い不満を、ほかでもない自分に向けて真っ先にぶつけ、よく考えれば差し引きはプラスとなるような目先のマイナスを避けようとして反応を起こし、大筋を見誤ったのかも知れません。


具体策に伴う小さなマイナスを突かれて正しい大方針を撤回してしまうパターンや、脅しに屈して取り返しのつかない選択をしてしまうパターンなども、全く同じではなくとも、近いものを感じさせます。


「失敗は成功の母」と言いますが、「失敗は勉強の母、勉強は成功の母」であり、失敗しても反省・勉強しない人には、いくら失敗しても自動的には成功は訪れないでありましょう。


(旧メッセージナウ2006年7月3日記事より)