閉業と廃業 2006.7/16

「閉業」と「廃業」とは似た意味の言葉ですが、『広辞苑』によれば、

【閉業】営業を終えること。また、商売をやめたり、休んだりすること。
⇔開業

【廃業】今までしていた職業・営業などをやめること。
「力士を―する」

とあります。


どうやら「閉業」の方が、再・開業あるいは転業への含みを多く持ち、「廃業」の方はそこで絶えてしまう意味合いが強いようです。


つまり、「閉業」は、ある場合には計画達成による次期計画のための一時営業休止や移転~転業準備に入るための事業中断にも使える可能性があります。


一方「廃業」は、少なくともその事業、あるいは一切の事業に関して続行困難になったりダメになって終わるイメージが強いのではないでしょうか。


「閉じる」の方が「休む」に近く、「廃れる」の方が「滅びる」に近いという捉え方もできます。


私がかねてから、じり貧で消耗しながら事業を続けるくらいなら、整理して資産が残る状態であれば、事業を畳んで様子眺めに入り、社会の転換後の状況を見極めて新たな産業領域で創業するのも一つの選択であることを強調していますが、こういう対処に該当するのは「閉業」のようです。


多くの事業者、とくに親から引き継いだ会社をやっている社長は、「続ける」ことを至上命令のように考えがちとなり、時代の風に見放されつつある事業や混乱期に弱い事業で無理に延命をはかろうとし、結局再起の原資の温存に失敗するケースが多いようです。


そこで現在、全国に必要なのは「閉業コンサルタント」なのだという話になります。


実際に先見の明をもって廃業・隠居をした人、閉業して資産を維持し再起の機会を待っている例も多くはないが存在します。


閉業の先達のような方もいますが、話を聞くと、段階的収拾の細かい心得もさることながら、やめた者でないと分からない心の問題も大切で、対応が必要のようですから、閉業の先達の助言を受けて閉業し、自らはしばらく閉業コンサルタントとして人助けをしながら社会の転換に備える人がもっと出て来てもよいと思います。


(旧メッセージナウ2006年7月21日記事より)