ことわざ 2006.8/16

ことわざをいくつも並べてみると、大まかな類型として、三つをあげることができるようです。


・世の真実系
例)短気は損気 逃した魚は大きい 玉磨かざれば光無し …

・行動教唆系
例)急がば回れ 可愛い子には旅をさせよ 損して得取れ …

・状態描写系
例)二階から目薬 猫に小判 頭かくして尻かくさず …


これらのうち三番目の<状態描写系>のものは、何かを述べる文のために部品として組み込まれる役割もので、一般に単独では文になっていません。


二番目の<行動教唆系>は、一応は文の形ですが、いわゆる命令文であり、直接的には事実について何か言明しているわけではありません。


一番目の<世の真実系>と名付けた部類のことわざは、その名のように、数多くの具体的な経験の中から抽出され残ってきた、事実に関する法則性の報告と捉えることができます。


ISTなどで着目する「情報価値」という面では、この<世の真実系>が他に比べて最も高い水準にあります。


一般の単位文は、

見る→読む→分かる

の過程にある程度の時間を要しますが、ことわざは短いので、

見る→分かる

の状態に入るのが早いことが一つの特色です。


ことわざが廃れないのは、なるほどと分かると同時に、イザとなるとそのことを思い出さなかったり、気が付いても無視してしまう、つまり繰り返し失敗してしまう部分を突いているからではないでしょうか。


ということは、ことわざ全般がよく消化されていて、的確なときにサッと浮かぶようになれば、随分とつまずきを免れたり、人の迷いの回復を助けたりできる効果が高いと考えてもよさそうです。


「こぼれたミルクを嘆くより、残ったミルクを大事にしろ」
(ロシアのことわざ)


(旧メッセージナウ2006年8月21日記事より)