現場の掟 2006.9/30

「幼年要目」という十箇条の心得ごと、修得すべき原則があります。

これは、人間としての資質の基礎が出来る幼年期までに身に付けておくべき事柄を、その核心に絞って短い項目にまとめたものです。


一、わがままをしてはなりません。

二、嘘をついてはなりません。

三、弱い者をいじめてはなりません。

四、卑怯なことをしてはなりません。

五、ものを粗末にしてはなりません。


六、いつも役目を果たしましょう。

七、いつも行儀をよくしましょう。

八、いつも工夫に努めましょう。

九、いつも用意と後始末をしましょう。

十、いつも約束を守りましょう。


この十箇条の規範は、幼児期に家庭などで唱和し、これに照らして反省し、行動を正していくことを主な目的として作ったものです。

その背景にあるのが、

「人生全体の幸不幸、成否というものが、幼児期までの人格形成によって、極めて決定的に影響される」

という認識です。


言い換えれば、かりに幼児期に身に付けられなかった人は、遅ればせにでも修得を急ぐ必要があるということです。


さもなくば、人格の基礎に欠陥を抱えたままであることによるトラブル、摩擦、失敗に見舞われ続け、自らその後始末や埋め合わせのために多大なエネルギーを使ってもなお追いつかなかったりして、散々な人生、半端な人生になるのが相場だからです。

それを痛感させる出来事はいくらでもあるはずです。


ある建築業の会社では、現場で相次いで起こってきた様々な不始末が、いずれも元をたどれば、その本人の幼年要目の未修得にあることを、社長がやはり強く感じ、幼年要目を現場の従事者に徹底しようと考え到りましたが、大のオトナに「幼年要目」ではさすがに似合わないということで、私が「現場の掟」ではどうかと提案したのでした。


このように、基本中の基本である幼年要目を、幼児以上の年齢の人に、先決課題として心得せしめる必要がある場合というのは、これからも考えられることであり、そもそもこれらは人間の基本なのであって幼児のみの基本ではないのですから、人間全体に関して基本という位置付けを表す名称があって当然とも言えます。


そこで、ごく一般的な呼び方として「基本要目」という名称を考えました。

もっと気の利いたタイトルが欲しいと思われるかも知れませんが、ずいぶん検討してもこの辺に落ち着くようです。


これらの名称を使い分けて、人格の基礎に全きを得た人々の割合が増えていくように実践普及をはかりたいところです。


(旧メッセージナウ2006年10月11日記事より)