腹を空けなきゃ仕事にならぬ 2007.6/27

一般には「腹が減ってはいくさができぬ」ということが常識的認識でありましょうが、ISTなどの高度な頭脳活動においては、その逆で、おなかに物があって胃が働いている状態では本格的な力量発揮が妨げられます。

それでもがむしゃらに思考作業を強行すると、あたかも固い物を噛まずに多量に食べた時のように胃を痛める事態となります。


ある時期、毎月一週間ほどの日程で会社からISTの研修に、はる研究院に出張してきていた方が、口の端に傷ができたりして、胃が荒れていることが目に見えており、ついに倒れてしまったことがあります。

そのときまで、習慣的に一般の人と同じように食事をとっていたのですが、それをきっかけに、朝食を抜き、昼も午後二時くらいに小さなパンを一つ食べる程度に改めたところ、ようやく体調を持ち直した例があります。


一食すると四時間くらいは胃に食物がとどまっていますから、その間は本格的な頭脳活動は抑えられます。

したがって、朝昼晩三食「きちんと」食べることの習慣化は、一日のほとんどの時間を「きちんと」考えられない状態に置くことになります。


プロとして頭脳活動をする人にとっては、食べた物が消化されて胃が空になってようやく仕事に集中するコンディションが整ったことになります。

つまり「腹を空けなきゃ仕事にならぬ」ということです。


これに慣れてくると、空腹は普段の状態となり、腹が減ったから食べなければといった反応はなく、別のレベルでのエネルギー切れを認知するまでは、頭脳快調が維持されるのみとなります。


また、頭脳活動続行中は、胃も凍結的休止状態で、いわゆる空腹感、食欲が立ち上がることもありません。

そして仕事が終われば、文字通りの空きっ腹に、おいしく食事をいただけるようになります。


「自分は一人前の食事をしても同じように考えられる」

と思っている人は、考えると言ってもただ思い巡らしているくらいで、本格的頭脳活動について認識していない可能性があります。

その両者の違いは、地面をホウキで撫でるのと、クワで耕すのとの差異にもたとえられるでしょう。


(旧メッセージナウ2007年7月20日記事より)