「お金がないからできない」
「競争が厳しいから売れない」
こうしたありふれた言い方にも、注意してみると依存人格に由来する転原他在の影が見え隠れします。
あたかも自分以外のもののせいであるかのように言っているものの、多くの事実は正確には
「私が使いすぎてしまったから…」
「我が社の商品が顧客に選ばれないから…」
ではないでしょうか。
より的確な捉え方をすると、事態は決して変えられない前提や環境の問題ではなく、自分にコントロールできる、あるいはできたはずのものごとであって、いかにもどうしようもないという嘆きが妥当なようなものではありません。
このような、依存人格をごまかすための記号戦略というものは、依存人格の氾濫に相伴うように蔓延しているようです。
容易に変えられないものを理由に
「泣きの七癖
(愚痴・ぼやき・弱音・泣き言・恨み言・いじけ・落ち込み)」
が出ているようなケースでは、まず依存人格的捉え方を疑ってみるに値すると思われます。
また、こうしたことから、依存人格者にとっては、目の前にある現状でさえ往々にして適正な把握が難しいことがわかります。
「逃げ」だらけの現状認識は、いずれ本人自身を八方塞がりの(ようにしか見えない)、逃れようのないところに追い込んでいくことになります。
ひるがえって、ついつられるように陥ってしまった世間一般的な転原他在的な捉え方を、依存人格的なニオイを手がかりに自覚し転換することが出来れば、対処のしようがあることにもまた気がつくことができる糸口になります。
(旧メッセージナウ2008年9月1日記事より)
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