大和信春
2003.11.19(ver.2.0 2003.12.9)
世界の恒久平和はもとより人類の悲願であり、社会を良くすることに貢献しようとする人々の究極目的とも言える。
一方で現今に至る国際関係の動きを見れば、世界のリーダー達が、秩序形成のための基本に軍事力を置く思考から出られないでいることは明らかである。
そのことは歴史的にも古来変わらず、当然の現実のように扱われてきているので、ほとんどの人がそれで仕方ないと考えている。
しかしながらここに、その認識を修正して新たに採用すべき知見が生まれたことを報告したい。
このパラダイム転換を理解するには、天動説の時代に初期の地動説に触れて拒絶・抵抗を示した当時の知識人達の反応を理解し、乗り越えなければならないであろう。
実際のところ今も、この新たなパラダイムに対しては多くの人が先入観の妨げによってなかなか理解できないでいる。
とはいえ、自立した判断力を有する優秀な人々や真剣に考えてきた人々、あるいはすでにその原理を体験して来た人々はそれぞれに深い理解を示す。
というのは、これが決して理想や思想信条、主義の類ではなく、新たに見出された実証的な諸法則の応用を語るものだからである。
この新原理の出現により、人類社会から戦争はなくならないだろうという見解は、ついに安住の地を失ったと言える。
新たなパラダイムによって成立する対処のあり方を「和道」と呼ぶ。「和道」成立を支える知見の体系を「和合工学」とも呼んでいる。
「和道」の意味するところは「異質共存的な安定平和を確立するために、和力と和略をもって、互恵共栄の関係を自身の周りから築き、拡大して全体に及ぼす秩序づくりのあり方」である。
「和道」では、いわゆる「戦力」「戦略」に対して「和力」「和略」という概念を提起し、これを関連する諸概念と共に用いて、新たに見出された法則、知識、理論を記述する。
たとえば、戦争のような相互排撃は、戦力の拡張によってではなく和力の失調によって発生することがわかると、軍縮のようなことが戦争防止にとってほとんどお門違いに近いことが判断できる。
強大な和力は、強大な戦力と同様かそれ以上に効果的に状況を動かし、目的達成に寄与する「実力」の一種である。
「和道」は、これまで対比させられてきた「王道」と「覇道」を止揚する位置にあると考えられる。
今日の人類世界はいまだに「覇道」の時代であるため、「和道」の主題は「覇道」の幻想の克服となってくるが、それは基本的には「王道」の復活という性質のものではなく、第三の道もしくは両者の統合された知恵である。
互いに厚遇・貢献の意志を持ち合っているがゆえに維持される平和を「真性平和」と呼ぶ。
これに対し、戦力の均衡または圧倒的な戦力格差のために戦争に至らない状態を「疑似平和」と呼ぶ。
いうまでもなくわれわれの国際社会はかつて一度も真性平和を体験していない。
「和道」は、「真性平和」達成のための資源と処方箋を明確に示す実学である。
またその知識と技法は、日常生活における人間関係の円満化から、企業経営における社員のまとまりや顧客との良好な関係づくりまで、応用範囲はじつに広い。
折しも人類社会は根本的な大転換期に差し掛かり、様々な面において従来のものが行き詰まると共に、新たなものに可能性が開けている。
我々地球人類は「和道」によって21世紀の新たな世界秩序を形成していかねばならない。
「和道」を体得し、「和力」の創出と活用を実践し普及することは、世界平和への志を抱く人材の使命と言えよう。
『和の実学』
和道についての基本の書
第一部「和の道」
第二部「和合工学」
第三部「心価経済学」
第四部「問題解決学」
第五部「和道の実践」
大和信春著・博進堂刊
定価1680円(税込)
『和道論点集』
あらゆる論点について理解を固める
大和信春著・HRI刊・3000円
『和の知恵』
「和の実学」の著者自身による軟訳
大和信春著・HRI刊・2000円
『和の手法入門』
「和の実学」短期セミナー用の資料
大和信春著・HRI刊・3000円
『The Way of Wa』
英語版「和の実学」
M.Boyer・HRI刊・3000円
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